認知症高齢者のアセスメントは、その人らしい生活を支援するために不可欠なプロセスです。認知症のアセスメントでは、認知機能の評価と行動・心理症状(BPSD)の把握が中心となります。代表的な評価ツールとして、改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)やミニメンタルステート検査(MMSE)が広く使用され、これらは5~15分程度で実施可能な標準化されたスクリーニング検査です。また、日常生活動作の自立度や社会的機能の評価も重要な要素となり、利用者の全体像を把握することで適切な支援計画を立案できるでしょう。
認知症の初期症状を見逃さないためには、日常生活での変化を詳細に観察することが重要です。記憶障害、見当識障害、実行機能障害などの中核症状に加え、徘徊、興奮、抑うつなどの行動・心理症状(BPSD)の有無と程度を評価します。食事や着替え、入浴などの日常生活動作の自立度、会話能力、興味関心の変化なども重要な評価項目となるでしょう。これらの情報収集には、利用者本人との面談に加えて、日常的に接している家族や介護者からの聞き取りが欠かせません。家族の観察情報は、利用者がどのような環境で安心感を得られるか、逆に不安や混乱を招く要因は何かを理解する重要な手がかりとなります。
アセスメントの結果をもとに、個別性を重視したケアプランを作成し、継続的な見直しを行うことが重要です。住環境の安全性確保、必要に応じた介護用具の導入、家族への支援方法の指導なども含めた包括的なアプローチが求められるでしょう。認知症は進行性の疾患であるため、定期的なモニタリングによって状態変化を把握し、その時々の状況に応じてケアプランを調整することが必要です。多職種連携により医師、看護師、介護福祉士、社会福祉士などの専門職が協力し、利用者が住み慣れた環境で安心して暮らし続けられるよう支援することが、認知症アセスメントの最終目標となります。